2019年11月15日

wayback machine

例えば、英検のサイトには、過去問が置いてあるが、それは、1年分(3回分)の過去問だけで、昨年のとかはもう見れないことになっている。そんなとき、
wayback machine
https://archive.org/
というのがあって、これで検索すると、だいぶ前のページでも見ることができる。
上のURLに行って、検索窓に、
https://www.eiken.or.jp/eiken/exam/
と入れてみると、
https://web.archive.org/web/20130801000000*/https://www.eiken.or.jp/eiken/exam/
こんな感じで、2013年から今までの過去問をダウンロードできる。
やりかたがわからないという人もいるので、動画で解説してみた。
https://youtu.be/dovtisvuzVc

これは英検だけではなく、他のことにも使えて便利だ。昔あったソフトで今は公開してないものも探せるし、ブログで削除されてしまった記事とかも遡れる。
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2019年11月14日

英語民間試験のおすすめ

2020年度の英語民間試験の導入は延期とする――ということになった。こうなることはまたは、こうしなければならないことは、英語教師ならだれでもわかっていたことだ。2024年からも民間試験は実施されないだろう。それから、英語の共通テストも結局のところ、数年のうちに元のセンター試験の形式に戻ると思う。

英語の民間試験といえば、結構検定料が高い。比較的低価格の英検でも、英検準1級 7,600円、英検2級 6,500円、英検準2級 5,900円ということになっている。TOEFLだと、24,000円と、恐ろしいほどの高額になる。

しかし、それでも、自分の英語の実力を試したい、少しずつレベルを上げていくための目標がほしいという中高生がいる。そんな人におすすめなのは、全商英検という英語の試験。受験料は、1・2級 1,300円、3・4級 1,200円というお手頃な料金になっている。実際、問題を見てみると、いい問題がそろっている。過去問が、
http://www.zensho.or.jp/puf/examination/pastexams/english.html
にそろっているので、自分でやってみるといいだろう。商業高校に行ってなくても、大人でも受験できる。
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2019年04月14日

高校英文法が理解できているかどうかよくわかるテスト

入塾希望の生徒がいると、その生徒の実力を知るために、いくつかテストをします。といっても、ちょっとしたことを聞くだけです。時間を決めた筆記試験をするわけではありません。なんと言っても、その生徒の実力がよくわかるのは、音読です。特に高校生だと、教科書を少し読んでもらうだけで、どれくらい理解しているのかがよくわかります。
文法をどれくらいわかっているかを知るために、このところ、以下のような質問をしています。
問題:Had で始まる肯定文を書きなさい。
Had ... ? という疑問文ならいくらでも答えることができるでしょう。しかし、肯定文となると、一応、英文法は一周やりました、というくらいでは、なかなか答えられないと思います。
答えは書きませんが、これに正しく答えられる生徒はかなり英文法の細かいところまで勉強していると判断してもいいでしょう。4択問題でやってしまうと、本当にわかっているのかどうか、やまかんであたったのかがわかりませんが、自分で文を書いてもらうと、その人の実力がよくわかります。
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2019年03月26日

シンデレラを英語で要約する

今日、「テストの花道---人は「考え方」を手に入れたとたん頭がよくなる!」という本を読んでいると、こんな問題が載っていた。


グリム童話の「シンデレラ」の物語を50字以内で要約してください。

50字というのは、400字づめ原稿用紙にすると、2行半だから、本当に短い。

で、模範解答は、どうかというと、本の中でこのように紹介している。
「いじめられていた優しいシンデレラが、魔法の力で夢の舞踏会へ。ガラスの靴がきっかけで王子と結婚する話。」

もう少しなんとかならないかとも思うが、50字だとこんなものかと思う。

ところで、これを英語でできないかと思いついた。「大学入試英語長文要約法」という本によれば、――英語を日本語に訳すと字数は約2.5倍になる――ということらしい。つまり、たとえば、英文の語数が400語だったら、それを日本語にすると、1,000字になるということ。比べているのが、語と字なので、こうなるのだが、これが正しいとすると、日本語で50字にするということは、英語で20語ということになる。英語で20語ということは、1文ということになる。

一度、自分でやってみればどうだろう?

そういえば、早稲田大学文学部 2016年の問題には、

5 Read the following passage and write an English summary in one sentence in your own words in the space provided on the separate sheet.

 Before the 1960s, most Americans believed in a moral order in the universe that is external to us and that makes claims on us. ...

というのがあって、これも、要約を1センテンスで書かせるという問題だ。問題形式は、このままでは採点しにくいので、最近では、文の出だしを与えてくれているようだ。

要約問題というのは、4択問題とは違って、本当にその人がどの程度理解しているかがわかる。たとえば、東大では、200〜350語くらいの英文を日本語に要約する問題が出ている。


1(A) 以下の英文を読み、ヨーロッパで生じたとされる変化の内容を70〜80字の日本語で要約せよ。句読点も字数に含める。

 In pre-industrial Europe, child labor was a widespread phenomenon and a significant part of the economic system. ....
という問題だが、これを短時間(おそらく10分ほどで)処理するのは要約することに慣れていないとなかなかできないのではないかと思う。

このような作業は、別に要約問題が出ない大学を受ける場合でも、長文を読んだら、要約するというくせを付けておくと、あとで読み返すときにすぐに思い出せるし、だれかに見てもらえば長文に書いてあることのコアを把握しているかチェックできる。

最初の話に戻ると、このような昔話を英語で要約するというのは、英作文の練習になるので、いいのではと思う。時間があれば、サイト上で毎週、お題を出して、投稿してもらって、どれがいいかランキングを付けていっても思うが、残念ながら時間がない。どなたかやってみてください。
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2018年10月10日

灘高の難問

今日、灘高の英語の問題をやっていたら、どうしてもわからないものがあった。ずいぶんと考えたのだが、わからなかった。

次の英文に入る共通の語を答えよ。
a) I was encouraged by your (  ) during my stay in the hospital.
b) My brother's (  ) started to deal in stationery as well as houosehold goods.
――灘高校 2013年の問題から
という問題なのだが、こういうのは、ひらめきがないとなかなか解けないかも。ホットポテトにして、自分で答えを書いて、合っているかどうか分かるようにしてありますので、一度、以下から試してみてください。
http://morimine.sakura.ne.jp/H/G/sj/nadanonan.htm
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2018年10月03日

/l/の発音

 英語の学習で何より大切なのは、発音です。正しい発音が身につけば、英語がぐんと楽しくなります。まずは[f]と[v]から始めて、日本語にはない音を自分で出せるようにするのですが、ほとんどの生徒は、[l]と[r]の発音ができません。特に、日本人にとっては[l]が難しいようです。どっちでもいいじゃないか、lice (シラミ)と rice (米)くらい文脈でわかるんだから、というかもしれませんが、その英語を聞いている者は、相手の間違った発音を頭の中で、「この人は今、毎朝、シラミを食べます、といったけど、そんなはずはないから、これは、米のことなのだろう」などと訂正しながら聞いているのは、結構、ストレスを感じます。

[l]の発音を文字で「舌を前歯の歯茎の根本あたりに押し付けたまま、舌の両側から息を出しながら声を出す」と書いてもなかなか理解してもらえないので、いろいろと動画を探してみたのですが、英語の発音の動画なのに、口元が大きく映っている動画はあまりありませんでした。そんな中で一番わかりやすかったのは、下の動画です。右下にある歯車のアイコンをクリックして、速度→0.5とすれば、スローモーションでネイティブスピーカーの口がいかに活発に動いているかわかります。字幕も出してみて、その文字が[l]のとき、舌の動きを観察してください。




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2018年07月16日

仏検準2級二次試験

仏検準2級の二次試験が7月15日、大阪のアンスティチュ・フランセ関西・大阪であった。地下鉄南森町で降りて、歩いて、やっとのことで場所がわかった。とにかく暑くて、歩いているだけで体力が奪われる。
試験の集合時間が3時24分と書いてあって、ずいぶんと細かいんだと感心した。上の級はすでに終わっているらしく、集まったのは準2級を受ける人ばかりだった。待合室に30人ほどいたが、男は4人ほどで、あとは女の人だった。たしかに、フランス語ときたら、まだそういう感じがあるのだろう。
それはともかく、二次面接は、たった5分くらいで終了した。ネイティブではなく、大阪大学の先生という人が面接官だった。3〜4行くらいのフランス語のパッセージをまずは1分ほど黙読して、次に音読した。1つ、immeuble という単語がわからなくて、im を鼻母音で発音してしまった。面接が終わってから、聞いてみると、イモブルと読んで、ビルとか建物という意味とのこと。おそらくim/meuble となっていて、動かないものなので、不動産、つまりビルとか建物の意味になるのだと思って、帰ってから調べてみたらそのとおりだった。ちなみに、meuble だったら、家具という意味になるらしい。
音読が終わってから、それに対して質問が5つあったが、3問目、一番左の女性は手に何を持っていますか、という問題で、グラスという単語がわからなくて、適当に言ったら、verre だとのこと。そういえば、たしかに、昔読んだ、「ガラスの少女」という童話があったが、それが、なんとか verre だった。調べてみると、 Beatrix Beck の "La petite fille de verre"というタイトルだった。
ま、2つ間違ったが、おそらく合格していると思う。
冬季の仏検は1つ飛ばして、準1級を受けようと思っていたのだが、もしかしたら、ステップバイステップで2級にするかもしれない。
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2018年07月11日

オズの魔法使い

プロジェクト・グーテンベルクにあった「オズの魔法使い」のテキストを使って、こんな教材を作ってみました。こんな感じの空所補充問題を著作権切れの名作を使ってこれから少しずつ作っていこうと思います。「80日間世界一周」、「アラビアン・ナイト」、「ギリシャ神話」などいろいろとできそうです。よろしければ、挑戦してみてください。

posted by ソフィア英語教室 at 21:57| Comment(0) | TrackBack(0) | 高校部

2018年07月05日

仏検準2級合格

この前、受けたフランス語検定準2級に合格したみたいで、テストは簡単だったので、不合格ということはないと思っていたが、それでもやっぱり嬉しいもので、こんなところに書き込んだりしている。といっても、100点満点中83点で、そんなに大したことはない。英検とは違って、仏検には書き取りテストがあって、フランス語を聞いて、それを書き取らないくてはいけない。ディクテーションなのだが、これが結構難しかった。聞いて理解できても、フランス語は、綴り自体はそれほど難しくはないけど、e é è ê と上に符号がつくのでややこしい。テストでも、hier (昨日という意味)を hièr と余計なことを書いてしまって、間違った。
これで、秋に準1級を受けて、合格して、そして、センター試験のフランス語を解説してみたいと思っているのだが、これからかなり勉強しないと受からないかも。。。
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2018年07月02日

よい子、悪い子、どっちの子

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■原稿枚数:17枚
■あらすじ:わたしのお父さんは大どろぼう。なのにわたしはせいせきゆうしゅう、行いものよい子。それでお父さんはかんかん。悪い事をするまで帰ってくるあと、追いだされてしまったわたし。どうしよう……。
■初出: 1997年11月20日  3年の読み物特集 下 株式会社 学習研究社学研
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●パパは大悪党●
「バ、バカモーン! な、なんだ、このせいせきは!」
 お父さんのたいほうのような大声に、わたしは、思わずとびあがってしまいました。
 二学期がおわったその日、わたしが、『あゆみ』をおそるおそる見せたときです。
「だ、だって――」
「だっても、クソもない! 少しは、ケンイチのことを見ならえ」
 そういって、お父さんは、ケンイチにいちゃんの『あゆみ』をわたしの目の前に、つきだしました。
「――――」
 すごいせいせきです。体育をのぞいては、国語も算数も社会もオール1でした。先生のコメントのところには、いたずら100回、ちこく50回。大きくなったらまちがいなく大悪党になるでしょう、と書いてあります。
「それにひきかえおまえというやつは――、体育をのぞいて、「たいへんすぐれている」ばかりだ。しかも、ちこくもけっせきも0、忘れものも0。おまけに、担任のコメントとして、こんなにやさしくてよいお子さんは、はじめてです。――まったくなさけない」
「ご、ごめんなさい」
 わたしは、消え入りそうな声でいいました。どうして、あやまらなければいけないのでしょう。ふつうのお父さんならほめてくれるはずです。でも、うちのお父さんはふつうではありません。じつは、わたしのお父さん――、大どろぼうなのです。
「こんなことで、りっぱな大悪党になれると思っているのか!」
「――あたし」
 大悪党になんかなりたくない、といいたかったのですが、こわくて言えません。
「そうだ、おまえは、女怪盗になるんだ。こんならくな商売はないぞ。一年に一日働けば、あとはあそんでくらせるんだからな、がはははは」
 うしろでがはははという声がしました。おにいちゃんがかえってきたのです。手には、お酒のビンをもっています。また、悪いことをしてきたのです。きっと、お酒だってぬすんできたにちがいありません。
「サンタ生け捕りさくせんを考えましたよ」 おにいちゃんは、お父さんに耳打ちをします。わたしには、おしえないつもりなのです。もうすぐクリスマス。このまえ、おにいちゃんは、サンタさんをつかまえて、プレゼントをひとりじめするんだといっていました。お父さんは、そのさくせんを聞いて、
「さすがわがむすこ。天才的な悪知恵じゃわい」
 大よろこびです。
「前いわいにいっぱい、いきますか?」
 おにいちゃんは、5年生なのに、お酒をのんでいます。なのに、お父さんは、しかるどころか、
「しょうらいがたのしみだわい」
 がはははとわらっているだけ。二人が、がはははのがっしょうをしている間に、わたしは、にげようとしたのですが、
「どこへ行くんだ」
とお父さんに耳をひっぱられました。
「おまえは、これから、外に行って悪いことをしてこい。世の中がふるえるくらいの悪いことをやってみろ。それまでは帰ってくるな。それができなければ、3学期から、悪党学校へ入れることにするからな」
 そういって、まるで猫のように、わたしは、家からおいだされてしまいました。わたしは、世界一不幸せな女の子です。
●悪い子になる方法●
 ゆうぐれの町をとぼとぼと歩きました。それにしてもこまったことになりました。
 お父さんがいっていた悪党学校というのは、悪党をそだてるためのひみつの学校です。そんなおそろしい学校にはいるのはいやです。でも、わたしには家出をしても、どこにも行くところがありません。だから、悪いことをするしかないのです。
 いつもよく行くこうえんに行って、そんなことをかんがえていました。上着をきていなかったので、さむくてしかたがありません。しかたないので、わたしは、駅のほうへ歩きはじめました。
 商店街からは、クリスマスソングがながれてきます。みんなたのしそうです。それなのに、わたしは――。泣きたくなってしまいました。
 悪いことといっても、なにをすればいいのでしょう。銀行強盗、万引き、ゆすり、どろぼう、ひったくり。お父さんとおにいちゃんが、よく話しているおそろしいことばが頭の中にうかびました。でも、とてもそんなおそろしいことはできません。 
「そうだ」
 わたしは、商店街のきっさてんの前で立ち止まりました。学校でもらった『冬やすみのすごしかた』という紙に、よい子は、お父さんお母さん以外の人といっしょにきっさてんやゲームセンターに行ってはいけません、と書いてありました。でも、ゆうきをふりしぼって、わたしは行くこときめました。
「――――」
 足をふみだそうとして、だいじなことに気がつきました。お金をもってこなかったのです。これじゃ、はいるわけにはいきません。 しばらく歩いていると、大きなお家がたちならぶところにやってきました。そのとき、わたしは、おにいちゃんがしていた悪いことを思い出しました。でも、こんなことをしてしまったら、わたしはもうだめです。悪の道にすすむことになってしまいます。わたしは悪い子になってしまいます。
 大きな家の前で、立ち止まりました。しんぞうがどきどきします。なんども門の前を行ったり来たりして、7回目、ゆうきをふりしぼって、チャイムをおしました。そして、いちもくさんににげだそうとしたとき、
「あら、佐久間さん」
という声がうしろでしたので、とびあがってしまいました。ふりむくと、そこに、洋子先生がたっていました。まさか、ここが先生の家だったなんて。十月にこの町にひっこしてきたばかりなので、知らなかったのです。
「なにか、ごよう?」
「――――」
 まさか、先生のお家のチャイムをおして、いたずらをするつもりだったなんていえません。わたしは、なんておそろしいことをしようとしたのでしょう。でも、その後、先生がいったことはもっとおそろしいことでした。「先生ね、じつは、佐久間さんのおうちへうかがおうと思っていたのよ? ぜひ、一度おとうさまにお会いして、どんなふうにしてあなたのようなよい子を育てられたのか、おうかがいしたいと思っていたの」
 それだけはこまります。こまったことになりました。あんなお父さんにあったら、先生は、なんと思うでしょう。
「ご、ごめんなさい」
 わたしは、どうしていいかわからず、そういって、走りました。
 それから、しばらく、図書館に行っていました。5時になって、図書館がしまって、わたしは、また外にでました。外はすっかり暗くなっていました。でも、わたしには、帰る家がありません。
 商店街をぬけて、パチンコ屋さんのとなりにあるゲームセンターの前まできました。ここなら、お金がなくても入ることはできます。もちろん、わたしは、すぐに入って、すぐに出てくるつもりでした。思い切って中にはいりました。やかましいところです。高校生や中学生がいっぱいいます。出ようとしたとき、目の前に女の人が3人立ちました。
「へええ」
 同じ学校の6年生の人たちです。
「あんたみたいな、いい子ちゃんがゲーセンに来るんだ」
「――――」
 わたしは、おっかなくなって、下をむいていました。そして、12の3で、走りました。「まちなよ」
 おいかけてきます。でも、あいては6年生、それに4人もいます。かちめはありません。わたしは、パチンコ屋さんのうらの駐車場においつめられました。
「この前は、あたしたちのことをよくもちくってくれたわね」
 前に、この人たちがわたしのクラスの女の子をいじめていたのを先生にいったので、そのことをいっているのです。
「ごめんなさい」
「ごめんなさいじゃすまないよ」
「あたしたち、ゲーム代たりないから、ちょっと金、かしなさいよ」
「――も、もってません」
「だったら、どうして、ゲーセンにいたっていうのよ。ざけんじゃないよ、このガキ」
 ぶたれるとおもって、わたしは、目をとじました。でも、なにもおこりません。目をあけると、その手がとまっていました。そして、「わあああ!」
といって、にげていったのです。その時、うしろから、笑い声がしました。おにいちゃんの声です。あの子たちは、おにいちゃんをこわがってにげたのです。
「悪いことするの、手伝ってやろうか?」
「いいもん。あたしだって、悪いことぐらい、できるもん!」
 なんだか、いつもお父さんにほめられているおにいちゃんのことがにくらしくなって、わたしは、そんなことをいってしまいました。せっかく、たすけてくれたのに――。
「じゃ、かってにしな」
 そういって、おにいちゃんはどこかに行ってしまいました。ひとりになって、また街を歩きました。外はすっかりくらくなりました。お菓子屋さんの店の前では、エプロンをしたおねえさんたちが、クリスマスケーキをうっています。
「あっ――」
 むこうから歩いてくる人を見て、わたしは、はっと立ち止まってしまいました。おまわりさんです。どうして、おまわりさんを見ただけで、どきどきするのでしょう。なにもわるいことをしていなくても、なんだかにげだしたくなるのです。お父さんは、堂々としておけばいいといっていました。でも、もしかして、おまわりさんはこれから悪いことをしようとしている子でもわかるのかもしれません。もし、そうだとしたら、そのときのわたしを見たら、きっと捕まえたにちがいありません。だって、わたしは、世にもおそろしい悪事をたくらんでいたのですから。
 でも、しんぱいのしすぎでした。おまわりさんは、ジングルベルを口ずさみながら行ってしまいました。
「――――」
 さっきのきっさてんの前にきていました。わたしがかんがえていたこと、それは、食い逃げです。食いにげというのは、お店でなにかをたべて、お金をはらわずににげてしまうことです。前に、お兄ちゃんのはなしをきいたことがあります。
 そんなおそろしいことができるのでしょうか。でも、悪いことをしないと、わたしは、お家にかえれないのです。このままだと、わたしは、おはなしの中のマッチ売りの少女のようにこごえて死んでしまいます。それに、どうせわたしは、どろぼうのこどもです。こんなことをしようなんて、わたしは、そのとき、どうかしていたにちがいありません。
「――」
 店の中にはいったとたん、すごい音がしまました。わたしは、びっくりして、ひっくりかえってしまいました。店の女の人がわたしの手をとって、
「おめでとうございます。当店千人目のお客さまはかわいいおじょうちゃん!」
と、いいました。すごい音は薬玉だったのです。
●ママ●
 わたしは、お店でもらったプレゼントをかかえて、またこうえんにもどっていました。あたりはすっかり暗くなって、「ちかんにちゅうい」というかんばんだけがひかっているだけです。
 どうして、こうもうまくいかないのでしょう。これは、きっと神様がわたしに悪いことをしてはだめだといっているにちがいありません。でも、悪いことができないと、わたしはお家には帰れないのです。どこからか、きよしこの夜がきこえてきます。
「ママ――」
 わたしは、むねのロケットを出して、ママのしゃしんにはなしかけました。
「ママ――」
 お父さんは、ママとけっこんしていたときから、どろぼうだったわけではありません。むかしはまじめだったのです。ママは、いつもわたしにいっていました。パパやおにいちゃんのぶんもおまえがしっかりしなきゃだめよ――と。なのに、わたしは、今日、なんてことをしてしまったのでしょう。けっきょく、何ひとつ悪いことはできなかったのですが、しようとしたことにちがいはありません。 ぐぐうとおなかがなりました。そういえば、ゆうごはんをたべていなかったのです。わたしは、さっきのきっさてんでもらったケーキのはこをあけました。そして、食べようとした、そのときです。
「きゃああ。ち、ちかん!」
という声がして、女の人がこうえんのほうに走ってきました。チカンというのは、女の人にエッチなことをする悪い人のことです。女の人がわたしのいるすべりだいの下を走り抜けていきました。つづいて、男の人がやってきます。わたしは、なにもかんがえずケーキを男の人になげつけていました。
「わ、わああ」
 ケーキがめいちゅうしました。目の前が見えなくなって、男の人は、足をもつれさせて、こうえんのぞうさんにぶつかってしまいました。チカンがうめいて、
「いてて! な、なにをするんだ。わたしは、けいじだ」
 そんなことをいっています。うそにきまっています。でも、わたしは、こわくなって、いちもくさんに逃げました。
●もしかして、悪い子?●
 どこをどう走ったのかわかりません。でも、気がついたら、家にかえっていました。
「お、道子か」
 二人は、テレビを見ていました。さっきのお酒がもうからっぽになっています。
「言ってみろ。どんな悪いことをしたんだ」「――あたし」
「どうした」
「――あたし、悪いことするのいや」
 わたしが、そういうと、
「――な、なんだと」
と、お父さんは、口をあんぐりとあいたままなにもいいません。
「あたし、お父さんがなんといっても、もう悪いことをするのはいや。悪いことはしないことにきめたの。女怪盗になんかならない。大きくなったらかんごふさんになって、こまった人をたすける」
「な、なんだと」
「ぶたれてもいいもん。たたかれてもいいもん。だけど、悪いことをするのはいや」
と、そのとき、テレビのニュースが、
「本日、午後十時ごろ、葛飾区の立石で、指名手配中の女さぎしをついせきちゅうのけいじが、空からふってきたケーキにあたってけがをするというじけんがおきました」
 立石というのは、わたしの住んでいる町のことです。まちがいありません。チカンだと思ったのは、けいじさんだったのです。わたしは、目が点になってしまいました。
「ま、まさか、おまえがやったのか?」
 お父さんが、わたしのようすに気づいて、「でかしたぞ、道子。やはり、わしの娘だ。けいかんをやっつけるとは、これは、あんがい大悪党のそしつがあるかもしれんぞ」
という声が、わたしにはほとんどきこえませんでした。
 ということで、わたしは、悪党学校に入れられずにすみました。あの犯人もしばらくしてつかまったそうです。でも、お父さんとおにいちゃんはあいかわらず。ママのかわりに、わたしががんばって、二人を悪の道から立ち直らせてあげようと思っています。
                                   《おわり》
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